(この記事は管理人の主観で書いています。正しくない可能性があります。ご了承の上、お読み下さい。)
私の母の実家は、福島県。原発事故の避難エリアです。
母方の親族は避難生活中、伯母は避難生活先で亡くなりました。
東北の震災で、宮城・岩手・福島は人口が減り、5年経過しても回復しません。
復興を取り上げた番組でも、避難先で『もう故郷には戻らないと思う』と言う方は珍しくありません。
福島であれば、健康被害を心配する方もいるでしょう。
津波でインフラや職場が破壊された東北の沿岸地域ならば、仕事を見つけるのが困難で・・という理由もあると思います。
しかし、最大の理由は、それらではないと思います。
震災で避難した方が、以前の住まいに戻らない理由は、利便性に気が付いてしまった事だと思います。
避難する場合、基本的に住んでいた地域より、利便性の高い地域に避難しています。
私の親族も、東京都内や福島県郡山などに避難しました。
親族が以前住んでいたエリアは、沿岸を走る1時間数本の常磐線が基本インフラ。生活は車中心。バスも1時間に2-3本。
スーパーやホームセンターはあるけれど、映画館も無ければ100メートル以内にコンビニも無い。
スマホやネットがあれば、どこに住んでも変わらないとは言っても、窓を空けても虫の鳴き声しか聞こえない場所とインフラを敷き詰めた都市部では違います。
その事に気が付いてしまった。利便性を知れば、その利便性を手放しても故郷に戻るという方は少数でしょう。
これは震災の避難者だけでなく、地方から上京してくる皆さんも同じ。
進学や就職の為に・・これは利益を求めて移動したと言う事になります。
高齢になれば故郷に戻るケースもあると思いますが、東京で家族を持ち根付く方も多いと思います。
日本の人口は1億2000万人、東京都の人口は1300万人、首都圏の人口は3500万人。
日本人のおおよそ1/3が首都圏に住み、大阪や名古屋、札幌や福岡などの都市部を入れれば、半数は都市生活者になってしまっているでしょう。
地方には人が少なく、商店街はシャッターで覆われ、町の明かりは大手企業のフランチャイズばかり。
土地はあっても農業の担い手は少なく、チェーン店勤務や大手工場の単純作業で現金収入を得て、それを全国同じ看板のスーパーやレストランで使う。
チェーン店で稼いだ収入を、チェーン店で消費しながら生活している状況です。個人商店は大手に客を奪われ消えつつあります。
進学率は高くなく、仕事も少ない。テレビをつければ、上京した若者がマンションに住み、華やかな都心を歩く。信じても無理はありません。
しかし、都会に来ても若者の手に入る金額は少なく、豪華なマンションではなく簡素なワンルーム。
手取りは15万で家賃と携帯代を払えば大して残らず、独身女性の1/3は平均給与半額以下の貧困状態。
人気ドラマが教えてくれない都市生活の一面です。
それでも故郷には戻らない。都市生活で確実に疲弊しても便利だから・・。
利便性を追求するのは当然ですし、それが悪くはないですが、都市生活のデメリットも享受しなくてはならなくなります。
独身ならば孤独死の覚悟、引退時までに老後生活費用を用意できなければ、年金だけでは足りないでしょう。
とはいえ、都市部に人が集中する構図はもう変えられないのかもしれません。
今の日本の企業は、選択と集中を加速させ、短いスパンで利益回収出来ない場合はすぐに見切る傾向が強いので、地方再開発には手を出さないでしょう。
ひとつの県の代表的な都市を発展させ、地域に散らばる住民をサテライト都市に再配置して効率化すべきとは思いますが・・。
高度成長からバブル期の物質至上主義を否定して、心豊かな生活を・・と言う有識者もいますが、理想論では解決しないでしょう。
少子化や地方の空洞化を防ぐ為には、どうしたらいいんでしょうね・・。
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