(この記事は管理人の主観で書いています。正しくない可能性があります。ご了承の上、お読み下さい。)
北朝鮮の核開発が続き、おそらく今後、長距離ICBMなどの開発も成功するものと思う。
アメリカと北朝鮮の構図というのは、朝鮮戦争以来、常に対立構造だった。
だから、ついついこの対立は続くという観点を外して考えるのが難しい。
しかし難しくはあっても、この対立構造が絶対変わらず続くという保証も無い。
米朝正常化交渉は、北朝鮮にとっては生存保障であり、ある意味悲願と言える。
トランプ政権では難しいが、オバマ政権時や核開発が進む前なら十分有り得たと思う。
現在でも細くはなったが、無い話ではない。アメリカが『本土を攻撃しないなら核保有国と認め、ブールーチームに引き入れる』と考えることも有り得る。
このサイトでも、日本がアメリカを引き込んでの米朝・日朝正常化交渉、平和条約締結について何度か書いた。
日本人としては北朝鮮との正常化交渉について、かなりの精神的な障害がある。
もちろん日本人拉致問題が一番大きいし、核ミサイルを日本に向けた独裁共産国家という事もある。
ただし北朝鮮と国交を持たない国は日米などの数カ国しかないし、日米は独裁国家とも日本に核を向けるロシアや中国とも国交を持っている。
ISと違い、北朝鮮は国連加盟国でもあるし、正常化するという事は同盟国や友好国になるという事でもない。
そうするとやはり、正常化交渉の前提は日本人拉致問題の解決が前提になる。
さて、そこで日本人という視線を離れて考えると、日本の拉致問題と韓国の慰安婦問題は似ている面もあると思う。
もちろん日本人から見れば『慰安婦は自分から・・もしくは韓国の女衒に騙されて慰安婦になった訳で、完全に責任の無い拉致被害者とは違う』と感じるはず。
その通りなのだが、日本にとって拉致被害者が救済対象のように、韓国では慰安婦が救済対象になっている。
事実は・・という観点を捨て、国民感情としては・・と考えれば、両案件共に解決なくして前進なしとなっている。
日本人の視点で見れば、韓国は生存慰安婦数人の為に、日韓関係がかつてないほどに悪化し韓国は大きな損失を出している。
韓国人の感情としては理解できなくもないが、問題はパク・クネ前大統領やムン・ジェイン大統領も同様という事だろう。
ではもし仮に、トランプ政権が北朝鮮を核保有国として認め、正常化交渉に進んだ時にどうするかという点だ。
有り得なくはない。アメリカはかつてインドと対立していたが、印中紛争後は核保有国と認め、むしろ積極的に対中国外交の一環として取り込もうとしている。
かつての敵であったベトナムとも手を結びつつある。北朝鮮だけは絶対に無いとは言えない。
北朝鮮が中国との対立を選び、日米と平和条約を結べば、韓国を捨てる代わりに北を拾うという可能性は小さくない。
もし米朝正常化交渉が進んだ時、日本が拉致被害者解決なくして正常化なしと決断するのが正しいと言えるのか考えておく必要はあると思う。
一番望ましいのは、北朝鮮が正常化交渉の土産として拉致完全解決を差し出せば言うことは無い。
朝鮮半島に対する抵抗感さえ度外視すれば、日本は韓国を捨てて、代わりに北という核保有国を新しい緩衝地帯として手に入れられる可能性がある。
メリットも無い訳ではない。韓国が左傾化していく中で、半島統一を防ぎ、半島の総意としての敵意が日本に向くのを止められるかもしれない。
日米朝が平和交渉・不可侵条約を結べば、韓国の北進もほぼ有り得ず、半島統一は防げる。
やはり最大の障害は、拉致問題解決とそれにまつわる国民感情となるだろう。
ただ北朝鮮が拉致問題で譲歩する可能性は無い。拉致問題解決済みというのは先代のキム・ジョンイルの言葉であり、神格化されている北が覆すことはまずない。
アメリカが北と正常化の道を選んだ場合、日本は『あくまでも拉致問題解決なくして正常化なし』と突っぱねられるか。
米朝が平和条約を結んだだけでは、日朝の軍事緊張は解けない。むしろ在日米軍不介入という事になる。竹島を巡るスタンスに近くなる。
そして北は核保有国のままであり、近海にミサイルを撃ち込み続け、米軍の盾も無いとしたら日本はどうすべきか。
ひとつは可能性がほぼゼロとしても、あくまでも拉致問題解決を追求することだろう。
もうひとつは、日朝正常交渉・平和条約の先の対中国包囲網に北を加える事を優先して、拉致問題をあきらめる事になる。
もしこの判断をすれば、右派保守は総反発をするはずだ。核保有国に屈して国民を見捨てるのかという激しい批判が起きる可能性が高い。
国民感情としては正しい。これが韓国における慰安婦問題の日韓合意に対する批判に『構図として』似ているというのである。正否ではなく。
韓国は、日韓合意に関して慰安婦を見捨てられず、国民感情が総反発しており、国益を損なっている。
国民感情としては理解できるが、パク・クネ前大統領の施政者としての判断は『日韓合意で慰安婦問題を終息に向かわせ、利益を取る』判断だったろう。
施政者としてはおそらく正しいが、国民感情を刺激し、弾劾の一因となった。
拉致問題に置き換えた時、日朝正常化に伴う安全保障上のメリットと、拉致被害者を諦めるデメリット、どちらを取るかという事になる。
言うまでも無く、国民感情としては拉致被害者を諦める選択肢は誤りだ、何故なら自分の身に起きた時、見捨てられるという事になるのだから。
では施政者としてはどうか。核の圧力に耐え続けて0.1%に賭け続けるか、メリットデメリットを精査して冷徹な判断をすべきか。
先日、米軍が西太平洋を去った時を考える必要があると書いたが、同じように可能性が0ではない以上、米朝が正常化した際に日本がどうするかは考えておくべきだろう。
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